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「提案型オンリーワン技術」をウリにしている中小製造業者

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厳しいグローバル化の波が日本の中小企業を襲っている。実際に、日本の中小製造業者は、中国は『世界の工場』になってきたなという実感を切実に抱いている。例えば、つい最近まで日本製が主流であった薄型テレビ関係のアルミ合金製のプレス部品も、全て中国メーカーに移ってしまった。また、ある大手有名電機メーカーは、リストラの一環で従業員数千人規模の工場をいくつも海外に移した。この影響を受け、協力会社である部品メーカーは仕事の激減に苦しんでいる。今や『世界の工場』と言われている中国に立ち向かうため、様々な方法でこの厳しいグローバル化の波に挑んでいる会社が存在する。今回紹介する会社は「提案型オンリーワン技術」をウリにしている中小製造業者だ。 

この中小製造業は深絞り技術を得意とするプレス加工メーカーである。ICレコーダーのような細長い筐体も、汎用プレス機を使って1枚の板から見事に成形してしまう。同社がプレスした筐体を初めて見る人は、「どこに継ぎ目があるのか?」と思うそうだ。何枚かの部品を溶接し筐体を構成しているものの、外観品質を高めるため、精度の高い後処理を施し、溶接跡を見えなくしているからだ。果たしてこの技術はどのようにして養われたのだろうか。

イメージ画像答えは顧客からどんなに難しい加工の部品を持ちかけられても、断ったことがないということだ。この企業の強みは何といっても「現場の粘り」だという。あらゆる技術や経験、ノウハウを駆使し、トライアル&エラーを繰り返し、何年かけても可能にする技術を身に付けるのである。できるまで粘り、最後は必ずものにするという姿勢が顧客からの信頼という得難いものを生んできた。

そして今、このプレス加工メーカーが力を入れていることがもう一つある。それは「提案型企業」への脱皮だ。これまでは顧客である大手メーカーから「こうした部品はできないか?」と加工依頼を受け、先のような粘りで形にしてきたが、こうした方法だけでは大手メーカーの海外シフトの影響をどうしても受けてしまう。それを克服する為に「受け身」をやめ、得意技術を活かして造れる部品を自ら見つけ出し、さまざまなメーカーへと営業を仕掛けるのである。

この社長の机の上には最新の電機製品が所狭しと並んでいが、1台も動かない。製品を分解して中に使われている部品を一つひとつ丹念に確かめるからだ。そして、得意技術を利用し、より低コストで加工できる部品がないかと検討、提案するのである。

提案型オンリーワン技術──。このプレス加工メーカーの方法に学べるのは、中小企業に限らないのではないだろうか。